早稲田双曲幾何幾何学的群論セミナー(通称:ゆるいセミナー) :毎月金曜日:17:00 ~18:30
2013年5月24日開始
2024年12月13日(金)17:00-18:30:第84回
- 講演者:雪田友成(足利大学)
- 場所: 早稲田キャンパス14号館8階808室
- 講演題目: コクセター図が木のコクセター系と最小増大度
- 講演要旨:有限単純グラフの辺に重みを4以上の整数で与えたものをコクセター図といい、コクセター図からはコクセター群と呼ばれる有限表示群が定まる。
コクセター群の典型例として球面幾何、ユークリッド幾何、双曲幾何に現れる離散鏡映群があり、特に双曲離散鏡映群については存在問題, 最小余体積や最小増大度の決定問題などが考えられている。本講演では、最小増大度をもつコクセター系、コクセター図が木であるコクセター系、余体積有限な双曲コクセター群の存在問題の3点について紹介する。特に、双曲コクセター群の最小増大度について現在までに決定されている部分と予想されている部分に分けてお話しする。.
2024年11月8日(金)17:00-18:30:第83回
- 講演者:John Parker (Durham)
- 場所: 早稲田キャンパス14号館8階808室
- 講演題目: Non-arithmetic lattices
- 講演要旨:A lattice is a discrete subgroup of a Lie group whose quotient has finite Haar measure, or equivalently its action on the associated symmetric space has finite volume. A lattice is arithmetic if its discreteness is a consequence of the discreteness of the integers inside the real numbers. Among irreducible, semi-simple Lie groups of non-compact type, all lattices are arithmetic except for in the groups SO(n,1) and SU(n,1). Examples of non-arithmetic lattices are known in SO(n,1) for all n. However, in SU(n,1) the situation is much less clear and the answer is not known for n at least 4. In this talk I will give an overview of this topic, and then I will describe the results of a joint project with Deraux and Paupert, where we construct the first examples of non-arithmetic lattices in SU(2,1) since the work of Deligne and Mostow in the 1980s..
2024年10月11日(金)17:00-18:30:第82回
- 講演者:須川敏幸 (東北大学)
- 場所: 早稲田キャンパス14号館8階808室(いつもの部屋のとなり)
- 講演題目: クライン群と球面幾何学
- 講演要旨:Fordは無限遠点を固定しないメビウス変換を等長円に関する反転と
ユークリッド等長変換に分解することによりFord基本領域の構成を行った.
本講演ではその球面版を考察し,応用としてクライン群の3次元双曲空間における
Dirichlet基本領域の境界の記述を与える.また,メビウス変換の弦距離に関する
Lipschitz定数の計算への応用も与える.本講演はA. F. Beardon, M. Vuorinenとの
共同研究に基づく..
2024年7月26日(金)17:00-18:30:第81回
- 講演者:坂井健人 (大阪大学)
- 場所: 早稲田キャンパス14号館8階810室
- 講演題目: Harmonic maps and degeneration of crowned hyperbolic structures
- 講演要旨:曲面の間の調和写像を用いると,タイヒミュラー空間を正則2次微分の空間でパラメータ付けすることができる. 近年,クラウン状の境界をもつ双曲曲面に対する調和写像の存在性や一意性が整備され, クラウン状の境界をもつ双曲曲面のタイヒミュラー空間を有理型2次微分でパラメータ付けすることが可能となった. この場合,極の位数と曲面の境界の位相形が対応している. 本講演では,調和写像,タイヒミュラー空間,正則2次微分の関係性から丁寧に紹介し, 有理型2次微分の場合における,調和写像パラメータ付けに関する無限遠での様子についてお話しする.
2024年6月7日(金)17:00-18:30:第80回
- 講演者:志賀啓成 (京都産業大学)
- 場所: 早稲田キャンパス14号館8階810室
- 講演題目: Notes on the number of geodesics in curve complexes
- 講演要旨:位相的に有限な向きづけ可能曲面 S のcurve complex C(S)には自然に距離が定義され,その測地線を考えることができる.一般には2点間を結ぶ測地線はuniqueではなく,多くの場合無限個存在する.その uniqueness については,Ido-Jang-Kobayashiの結果があり,有限性については大家氏が前々回の本セミナーで報告された.本講演では,大家氏の講演にinspireされたいくつかの考察と結果を述べる.
2024年5月17日(金)17:00-18:30:第79回
- 講演者:山口祥司 (早稲田大学)
- 場所: 早稲田キャンパス14号館8階810室
- 講演題目: Dynamical zeta functions and the higher-dimensional Reidemeister torsion for Fuchsian groups
- 講演要旨:2次元双曲オービフォールド上の単位接束はPSL(2;R)のその離散部分群(フックス群)による商空間で表せる3次元多様体とみなせる。 2次元双曲オービフォールド上の測地線流が定める力学系のゼータ関数の値と単位接束が定める3次元多様体の位相不変量ライデマイスタートーションの値の関係を紹介する。
2024年4月19日(金)17:00-18:30:第78回
- 講演者:大家佳奈子 (奈良女子大学)
- 場所: 早稲田キャンパス14号館8階810室
- 講演題目: On finiteness of the geodesics joining a pair of points in curve complexes
- 講演要旨:S を種数が g, 境界成分の数が c, puncture の数が p である向き付け可能曲面とする. 本講演では以下の結果について紹介する.
(1) "g=1, c+p \geq 3” または "g \geq 2, c+p \geq 1" のとき, S の curve complex 上の 2 点 a_0, a_2 で次のようなものが存在する:
d_S (a_0, a_2)=2, a_0 と a_2 を結ぶ curve complex 内の geodesic の個数は丁度 2 個である.
(2) "g=2, c+p \geq 1" または "g \geq 3" のとき, S の curve complex 上の 2 点 a_0, a_2 で次のようなものが存在する:
d_S (a_0, a_2)=2, a_0 と a_2 を結ぶ curve complex 内の geodesic の個数は丁度 3 個である.
2024年1月26日(金)17:00-18:30:第77回
- 講演者:野中純(早稲田大学高等学院)
- 場所:ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階810室
配信形式: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/94886595518?pwd=R0lVNTNvY1krTXFzZlA4WGlkUm9vUT09
ミーティング ID: 948 8659 5518
パスコード: 813410
- 講演題目: すべての面角が π/3 である双曲多面体について
- 講演要旨:各面角が π/k (k∈N または ∞)で表される凸多面体をCoxeter多面体という.双曲空間における体積有限なCoxeter多面体の中で,特に全ての面角が同じ大きさのものとして,面角が π/2 のものと,π/3 のものが存在する.本講演では,全ての面角が π/3 である双曲Coxeter多面体に着目し,その存在や体積評価等について得られた結果を紹介する.
2023年12月8日(金)17:00-18:30:第76回
- 講演者:John Parker (Durham)
- 対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階810室
- 講演題目: Margulis regions for screw-parabolic maps in real and complex hyperbolic space
- 講演要旨:There is a celebrated result of Margulis about discrete subgroups of isometries of Riemannian manifolds with non-positive curvature. The result says that there is a constant only depending on the manifold so that, for each point on the manifold, the group generated by those isometries with displacement less than this constant is particularly simple. For many points this group is trivial, but the sets where it is infinite are called Margulis regions. In this talk, I will discuss the Margulis regions associated to screw parabolic maps with infinite order rotational part in both real hyperbolic 4-space and complex hyperbolic 2-space. A particularly striking aspect of these results is the way they depend on the continued fraction expansion associated to the rotational part of the map, and the use of results from Diophantine approximation. There are differences between the cases of real and complex hyperbolic spaces, and I will give some open questions in the latter case.
- 主催:科研費 基盤研究(C) 課題番号 19K03481
2023年11月17日(金)17:00-18:30:第75回
- 講演者:秋吉宏尚 (大阪公立大学)
- 場所:ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階810室
配信形式: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/99764188553?pwd=WGNzSzFyTG9NSVlnV0NlaGNHZ0Jjdz09
ミーティング ID: 997 6418 8553
パスコード: 291382
- 講演題目: 閉双曲曲面のディリクレ領域に関する数値実験について
- 講演要旨:双曲多様体に基点を定めるとディリクレ領域という基本領域が定まりますが、基点を取り替えればこの領域は変形していきます。この講演では、正八角形の辺を貼り合わせて得られる種数2の閉双曲曲面に対し、基本領域である正八角形の中で基点を動かしたときに得られるディリクレ領域を調べた数値実験を紹介します。
2023年10月27日(金)17:00-18:30:第74回
- 講演者:甲斐涼哉 (大阪公立大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/92969466606?pwd=Z3BscDE2c2VHb2FvSm5YRWd0WEtZZz09
ミーティングID: 929 6946 6606
パスコード: 236566
- 講演題目: 双曲空間の等長変換がなすカンドル
- 講演要旨:カンドルはJoyceとMatveevによって独立に導入された代数系である.その演算規則は結び目の図式の局所変形であるReidemeister変形に対応する.絡み目LとカンドルXに対してX-彩色が定義される.これは絡み目の補空間の基本群からのある種の表現の精密化となっている.また,双曲幾何学は3次元において重要な役割を持つ.Inoue-Kabayaは,3次元双曲空間の放物型変換全体がなすカンドルParaによる彩色を用いて,双曲結び目の複素体積の計算手法を構築した.ここで用いられたカンドルParaに注目し,本講演では双曲空間の一般の向きを保つ等長変換の共役類がなすカンドルの構造について紹介する.
2023年7月28日(金)14:00-15:30(セミナー時刻が通常と異なります):第73回
- 講演者:Yassin Chandran (CUNY)
- 場所: ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館7階717A室 (セミナー室が通常と異なります)
配信形式: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/92163994415?pwd=ajkvQjVpNlg0T1hHRmNGSnpTVjM1dz09
ミーティングID: 921 6399 4415
パスコード: 063401
- 講演題目: Marked hyperbolic structures on infinite type surfaces
- 講演要旨:Bers gave a proof of the celebrated Nielsen-Thurston classification that organizes elements of the mapping class group of finite type surfaces in termes of their action on Teichmuller space. Inspired by this perspective, we define a space of marked hyperbolic structures associated to an infinite type surfaces. We'll discuss various connectivity properties of this space and organize elements of the mapping class group into three classes based on their action on this space.
2023年6月30日(金)17:00-18:30:第72回
- 講演者:足立真訓 (静岡大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/99265825112?pwd=RGNHS3kxTHBFVGd2akRWZEU5WVR3Zz09
ミーティングID: 992 6582 5112
パスコード: 981639
- 講演題目: Harmonic measures and rigidity for surface group actions on the circle
- 講演要旨:有向双曲閉曲面上の平坦円周束について、その Euler 数の絶対値は底空間の Euler 標数により bound され (Milnor 1958、Wood 1971)、Euler 数が極値を取る時、平坦円周束のホロノミー表現は底空間の一意化より得られる標準的な表現と半共役となる(松元 1987)。これらの結果は、ホロノミー表現の有界Euler数を考えることにより、有限型の双曲曲面に対して一般化される(Burger-Iozzi-Wienhard、2014) 。 Milnor-Wood の不等式・松元の剛性定理に関し、Frankel と Thurston は、1990年代に葉層の調和測度を用いた別証明を提案したが、完全な論文は出版されなかった。彼らの証明手法を精査することで、Burger-Iozzi-Wienhard の定理に別証明を与えられたので、本講演ではその解説をしたい。 本講演の内容は、松田能文氏、野澤啓氏との共同研究であり、プレプリント(arXiv:2207.08411)に基づく。
2023年5月26日(金)17:00-18:30:第71回
- 講演者:佐々木東容 (学習院大学)
- 場所: ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階805室 (セミナー室を移動しました)
配信形式: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/95867693002?pwd=NDc4SW1CcUZjWk84YmtvUDQ5U29xZz09
ミーティングID: 958 6769 3002
パスコード: 748876
- 講演題目: Counting subgroups and subset currents
- 講演要旨:種数gの閉双曲曲面Σの基本群をG,写像類群をMapとする. Σ上の閉測地線をMapの作用で動かしたもの全体において,長さL以下のものの個数は L^{6g-6}のオーダーで増大する(Mirzakhaniの結果). 閉測地線はGの元の共役類に対応することに注意して,Gの有限生成部分群の共役類 をMapの作用で動かしたときの数え上げを考える. 曲線の長さの代わりに,"部分群の凸核の境界の長さの和(の半分)"を使うと, 同様にL^{6g-6}のオーダーで増大することが分かった. 関連して測地カレント(閉測地線の完備化)の議論が自然にサブセットカレント(有限生成部分群の完備化)に拡張されることも紹介したい.
2023年4月21日(金)17:00-18:30(100分授業に合わせてセミナー開始時間が変わりました) :第70回
- 講演者:松家拓稔 (東京都立大学)
- 場所: ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階810室
配信形式: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/96406316270?pwd=MTA4WDFZTFN0Q3dUWDd2NnRXNUJ3dz09
ミーティングID: 964 0631 6270
パスコード: 740769
- 講演題目: 粗凸空間の自由積と粗バウム・コンヌ予想
- 講演要旨:深谷友宏氏と尾國新一氏は粗凸空間とよばれる距離空間のクラスを導入した。これは非正曲率をもつ単連結完備リーマン多様体の粗幾何学における対応物とみなせるものである。グロモフ双曲空間、CAT(0)空間、シストーリック複体、proper injective metric spacesなどは粗凸空間の重要な例である。我々は距離空間に対して、自由積とみなせる概念を導入した。そして対称的な測地的粗凸空間の自由積がまた粗凸空間であることを示した。応用として、対称的な測地的粗凸空間の自由積は粗バウム・コンヌ予想を満たす。本講演は深谷友宏氏(都立大)との共同研究であり、プレプリント(arXiv:2303.13701)に基づく。
2023年1月20日(金)16:30-18:00:第69回
- 講演者:Ruth Kellerhals (Fribourg)
- 場所: ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階810室
配信形式: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/99775040786?pwd=bTRpMzlIVjBCekV2YytzUkdZSWxQdz09
ミーティングID: 997 7504 0786
パスコード: 513116
- 講演題目: Cusp density, arithmeticity and commensurability of chain link complements
- 講演要旨:For some infinite families of cusped hyperbolic Coxeter 3-orbifolds and related chain link complements I present some recent results about their arithmetic properties and commensurability relations. The tools involve cusp densities, volume computations and Vinberg's theory for hyperbolic Coxeter groups. The talk is partially based on joint work with Edoardo Dotti and Simon Drewitz.
2022年12月23日(金)16:30-18:00:第68回
- 講演者:笹谷晃平(京大数理研)
- 場所: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/95592142512?pwd=QnBQUTNBMnBoN2VLcFltNGt2WWxWZz09
ミーティングID: 955 9214 2512
パスコード: 585367
- 講演題目: Ahlfors正則共形次元とその近年の応用について
- 講演要旨:Ahlfors正則共形次元 (Ahlfors regular conformal dimension)とはBonk-Kleiner(2005) で定義された距離空間の次元量であり、概ね、擬等角写像のある種の一般化である擬対称写像による変形で距離空間のHausdorff次元をどれだけ下げられるかを表す量である。Carrasco Piaggio(2013) はこの幾何学的な量が、元の距離空間を離散近似するグラフの列の上でのポテンシャルの議論から定まる、ある種の臨界値によって特徴づけられることを示した。本講演ではその結果を木上(2020)の枠組みに沿って紹介し、加えて近年のフラクタル上の解析学における応用について述べる。
2022年11月25日(金)16:30-18:00:第67回
- 講演者:浅尾泰彦 (福岡大学)
- 場所: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/94191119180?pwd=aXg1N2R1Y1k1NFhBdXorUVNlYTN3Zz09
ミーティングID: 941 9111 9180
パスコード: 459225
- 講演題目: マグニチュードホモロジー入門
- 講演要旨:本講演ではマグニチュード理論について、その動機も含めて基本的な事項について概説するとともに他分野との関連について触れることで、理論の奥深さと懐の深さを紹介したいと考えている。「マグニチュードとマグニチュードホモロジー」は「オイラー標数とホモロジー」をその関係も含めて包含しており、さらにグラフや距離空間に対しても適用可能な「汎用的オイラー標数及びホモロジー」と呼べるものである。この理論の魅力はその汎用性もさることながら定義が単純であり手を動かして計算可能であるという点にある。理論が応用可能と考えられる話題としては超平面配置や幾何学的群論が挙げられる。それぞれ配置のポアンカレ多項式・有限生成群の増大度関数はマグニチュードとみなせる。従ってマグニチュードホモロジーはそれぞれの圏化となっている。それらがトージョンを持つのか、持てばどのような情報を持っているのか、など興味深い問題がいくつかあると考えている。
2022年10月7日(金)16:30-18:00:第66回
- 講演者:雪田友成 (早稲田大学)
- 場所:ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階810室
配信形式: Zoomミーティング
https://list-waseda-jp.zoom.us/j/99568476022?pwd=dG9BaGpOOGlKaEs1a1ZMYlV5SlBEQT09
ミーティングID: 995 6847 6022
パスコード: 905462
- 講演題目: コクセター系のnerveの組み合わせと増大度の数論的性質について
- 講演要旨:コクセター系 (G, S) に対して、有限部分コクセター群の情報からnerveと呼ばれる単体複体が定まる。 例えば、離散鏡映群としてcocompactに双曲空間に作用するコクセター系のnerve は鏡映面により囲まれる多面体の双対多面体である。 本講演では、nerve L(G, S) がグラフであるコクセター系の増大度の数論的性質と L(G, S) のオイラー標数に関する次の結果について説明する。 (1) オイラー標数が0ならば増大度はSalem数である。(2) オイラー標数が正ならば増大度はPisot数である。 また、オイラー標数が負の場合についてもこれまでに得られている結果について説明したい。 本講演の内容はNaomi Bredon氏との共同研究であり、プレプリント(arXiv:2209.05100)に基づく。
2022年6月24日(金)16:30-18:00:第65回
- 講演者:山下靖 (奈良女子大学)
- 場所:ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階810室
配信形式: Zoomミーティング
https://zoom.us/j/91325800648?pwd=NTBuNXQvN0syUy9tMTMza0FTQlJWUT09
ミーティングID: 913 2580 0648
パスコード: 435998
- 講演題目: Rileyスライスとその仲間たち
- 講演要旨:2つの放物的な元により生成されるクライン群(であってある仮定をみたすもの)たちの集合はRiley sliceと呼ばれ、これまでよく研究されてきています。ここではその仲間として、2つの楕円的な元により生成されるクライン群について、特に算術的クライン群との関係を中心に紹介します。
2022年5月20日(金)16:30-18:00:第64回
- 講演者:長澤壯之 (埼玉大学)
- 場所:ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階810室
配信形式: Zoomミーティング
https://zoom.us/j/91205139390?pwd=dDl4V0hWbGhvcFl3bGZkZ2phVFZXQT09
ミーティングID: 912 0513 9390
パスコード: 747805
- 講演題目: 結び目と絡み目に対するメビウス・エネルギーのメビウス不変分解について
- 講演要旨:結び目の標準形をエネルギーの最小元で与えようという考えは古くからあり、1990年代にO'Haraにより一連のエネルギーが提案された。このエネルギーは絡み目にも定義が拡張されている。O'Haraが提案したエネルギーは、結び目の曲がり具合を測る第一エネルギーと捩じれ具合を測る第二エネルギーに分解される。分解前のエネルギーは、発散する積分の差をとる事で有限部分を取り出す(繰り込み)ことにより定義されており、解析的に繊細な扱いが要求される。一方、エネルギーの分解は、元のエネルギーを絶対収束する2つの積分に分けたものになっており、分解エネルギーは解析的に扱いやすい。O’Haraエネルギーの一つにメビウス変換によって不変なものがあり、メビウス・エネルギーと呼ばれるようになった。メビウス・エネルギーについては、分解されたエネルギーもそれぞれメビウス変換によって不変になっており、幾何学的にも興味深い。 本講演では、まず、結び目のエネルギーの分解について概観する。引き続き、メビウス・エネルギーに関して、結び目だけでなく絡み目のエネルギーについても同様な分解が可能である事を述べる。ガウス写像を用いて分解を精査し、この分解が「中線定理」に相当する事を明確にする。更に、メビウス・エネルギーの分解エネルギーのメビウス不変性を複比のメビウス不変性から導かれる事を紹介する。
2022年4月22日(金)16:30-18:00:第63回
- 講演者:小菅亮太朗 (東京大学)
- 場所:ハイブリッド形式
対面形式: 早稲田キャンパス14号館8階808室
配信形式: Zoomミーティング
https://zoom.us/j/99678121217?pwd=STJ3bTU5clgwUkJncmhFYWVtUE0wdz09
ミーティングID: 996 7812 1217
パスコード: 872837
- 講演題目: 曲面の写像類群のChillingworth部分群について
- 講演要旨:曲面の写像類群の重要な部分群にTorelli群やJohnson kernelと呼ばれるものがあるが, これらはいずれも曲面の基本群への作用をコンセプトとして定められるような部分群であり, Johnson準同型をはじめとする様々な道具によって盛んに研究されている対象の一つである. 今回この講演ではChillingworth部分群と呼ばれるベクトル場のホモトピー類への作用をコンセプトとして定められる部分群について得られた二つの結果について話す.
・Johnson準同型のChillingworth部分群上への制限が誘導する二次の有理係数群コホモロジー群の間の準同型写像について調べ, そのkernelを決定した.
・ある構造付き3次bordism群に値を持つ準同型写像を構成した. この準同型写像はJohnson準同型, 森田先生によるCasson不変量に関連するある準同型写像 d (,Birman-Craggs準同型) を復元し, Chillingworth部分群の可換化(もしくはtorsionを無視した可換化)を与えることが期待される準同型写像である.
2022年1月28日(金)16:30-18:00:第62回
- 講演者:金子佳希 (東京工業大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/95136604271?pwd=TXplSktrMzB0V1hmeGZscURLUHFFZz09
ミーティングID: 951 3660 4271
パスコード: 933670
- 講演題目: 無限型リーマン面を覆うcircle packingの存在について
- 講演要旨:circle packingとは内部で交わらない円の局所有限な集まりであり、circle packingによる曲面の充填は離散的な接グラフのデータから曲面の等角構造を決定できるという特徴をもつ. これによってcircle packingから測地線三角形の貼り合わせによるリーマン面の実現が得られ、局所的な擬等角写像を貼り合わせて大域的に構成する、といったことができる。 A. F. BeardonとK. Stephensonは、閉リーマン面の任意の三角形分割はあるリーマン面及びあるcircle packingによって実現される、ということを示しており、これ以後タイヒミュラー空間内においてcircle packing point、すなわちあるcircle packingによって覆われるリーマン面がどの程度存在するか、という研究が行われていた。 P. L. BowersとK. Stephensonは、有限型リーマン面のタイヒミュラー空間においてcircle packing point全体が稠密であることを示しており、G. B. Williamsは、任意の有限型開リーマン面そのものについてcircle packingで覆うことができることを示している。 本講演ではWilliamsの議論を拡張することで、任意の無限型リーマン面があるcircle packingによって覆われることを示す。
2021年12月17日(金)16:30-18:00:第61回
- 講演者:尾國 新一 (愛媛大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/98566081035?pwd=QmRXekJZQlZLelR1ekMyNHUwZkdDQT09
ミーティングID: 985 6608 1035
パスコード: 124744
- 講演題目: 無限型のアルティン群の非シリンダー的双曲性について
- 講演要旨:アルティン群は、ラベル付きグラフから定められる生成系と関係子によって与えられる群である。各生成元がインボリューションであるという関係子を追加することでアルティン群からコクセター群が得られる。アルティン群が無限型であるとは、この操作によって商として得られるコクセター群が無限群であるときを言う。無限型のアルティン群は、適当な意味で非正曲率性を持つことが期待されている。非正曲率性の代表的なものとして、CAT(0)性が有名であるが、本講演では、非正曲率性の一例である非シリンダー的双曲性について取り扱う。具体的には、無限型アルティン群に対して、「非シリンダー的双曲性を有することとアルティン群としての既約性は同値である」という予想の部分的解決について報告する。本講演は、現在進行中の加藤本子氏(愛媛大学)との共同研究に基づきます。
2021年11月26日(金)16:30-18:00:第60回
- 講演者:門田直之(岡山大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/91207102628?pwd=WXAzZ1lUdGhsR01qR3JZaEd4cTlPQT09
ミーティングID:912 0710 2628
パスコード: 340958
- 講演題目: 写像類群の最小の生成系について
- 講演要旨:与えられた群の最小の生成系を見つけることは, 群論における古典的で基本的な問題 の1つとして挙げられる. 本講演では, 有向閉曲面から有限個の点を除いた曲面の写 像類群に対し, 講演者が与えた最小の生成系を紹介する. また, 写像類群(あるいは その部分群)の様々な生成系に関する結果や未解決な部分を紹介したい.
2021年10月22日(金)16:30-18:00:第59回
- 講演者:松谷茂樹(金沢大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/91479504124?pwd=c1N3R0VCZkhtMFBLcVIyWUY3Vm9RUT09
ミーティングID: 914 7950 4124
パスコード: 932203
- 講演題目: 代数曲線のWeierstrassのσ関数について
- 講演要旨:近年,楕円関数の故郷は弾性曲線(elastica)であり,lemnuiscateはそのtoy模型であったことが明らかになっている.また,GaussがEulerの弾性曲線から現代的には静sine-Gordon方程式と呼ばれる非線形微分方程式を導き,その静sine-Gordon方程式からθ関数を得,その冪展開係数の数項を求めていたこともわかってきた.Weierstrassの師であるGudermannはGaussからの影響を受けていた. Weierstrassは学生時代に,Gudermanから学んだGaussの方法に倣い,静sine-Gordon方程式により楕円σ関数の原型を得た.また,その拡張として,素人数学者時代にGaussの方法を手本に超楕円曲線のσ関数の原型を得た. Weierstrassの楕円関数論は.1)標準化した曲線を考察し,2)Jacobianのデータでσ関数を定義し,3)非線形微分方程式(静KdV方程式)を得,4)σ関数の冪級数展開の係数を曲線のパラメーターで決定するという手順で構築される.これは正にGaussの手法の継承である.Weierstrassは諸科学への応用を視野に入れて彼の楕円関数論を構築した.Eulerから始まる,言葉としての数学の開発の継承でもある. 他方,Weierstrassには,Abelが目指した「代数曲線上の積分が含有する超越性と代数性の解明」と「数体上のAbelの理論(Galois理論)の関数体への拡張」を継承するという大きな目標があった.その目標に向け,上記のGaussの手法に倣った楕円関数論を拡張し,代数曲線のAbel関数論の構築を目指していた.しかし,19世紀の数学の未成熟さを起因とする諸々の障害により,頓挫し,忘れ去られることとなった.この困難を乗り越えたのはWeierstrassのものとは全く異なるRiemannによるAbel関数論であり,現在も主流となっている.しかし,20世紀を経ることで,諸々の障害を乗り越えられるようになった現代においては,Weierstrassの楕円関数論と同等の具現性を持つ,WeierstrassのAbel関数論の復活・推進は可能となった.同時に,それは待望されていると考えている. 講演では,上述の状況について述べた後に,最近発展している代数曲線のWeierstrassのσ関数と,Eulerのelasticaを超える試みについて触れる.
2021年7月29日(木)(曜日がいつもと違います)16:30-18:00:第58回
- 講演者:Md. Shafiul Alam(東北大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/91748388918?pwd=MG9vcm10L2dkOE9KbjZ1Q3ZIOUU5UT09
ミーティングID: 917 4838 8918
パスコード: 216738
- 講演題目: A Geometric Study on Ramanujan's Modular Equations and Hecke Groups
- 講演要旨:Srinivasa Ramanujan recorded many remarkable formulae for the solutions to generalized modular equations without proofs. Many decades later, proofs of these formulae were provided by making use of highly nontrivial identities for theta series and hypergeometric functions. There is an intimate relation between Hecke groups and generalized modular equations. Based on the relation, we offer a geometric approach to the proof of those formulae. We emphasize that our approach does not need any knowledge about the identities for theta series and hypergeometric functions. Without prior knowledge about Ramanujan’s formulae, one can derive those formulae through our approach. We prove that the solution to the generalized modular equation satisfies a polynomial equation, and we determine the degree of the polynomial explicitly in terms of the indices of Hecke subgroups. In this talk, we will discuss some basic facts of Ramanujan’s modular equations. We will also focus on some results related to Hecke groups and Ramanujan’s modular equations in the theories of signature 2, 3, and 4. Furthermore, we will present some applications of our results by deriving geometrically some known modular equations.
2021年6月11日(金)16:30-18:00:第57回
- 講演者:吉田啓佑(北海道大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/97203880112?pwd=cnEzUGN3NXQ4VW03MCtHT050LzBCUT09
ミーティングID: 972 0388 0112
パスコード: 261567
- 講演題目: Operator algebraic approaches to self-similar groups
- 講演要旨:Self-similar groups are some kinds of groups defined on symbolic dynamical systems. They includes some interesting finitely generated groups. For example, a self-similar group called the Grigorchuk group is the first group of intermediate growth. Operator algebras coming from self-similar groups are also interesting. The operator algebras preserve much information on self-similar groups. We start with elementary topics on self-similar groups. After that, I give an overview of C$^*$-algebras associated to self-similar groups introduced by Nekrashevych. In the last part of the talk, we compare properties on self-similar groups with ones on C$^*$-algebras. [Speak in Japanese, slides are in English]
2021年5月28日(金)16:30-18:00:第56回
- 講演者:伊敷喜斗(筑波大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/92042229830?pwd=T1VqQTdxOG5Oak84ekhaNmtPZHM3UT09
ミーティングID: 920 4222 9830
パスコード: 473104
- 講演題目: Quasi-symmetrically invariant properties and spaces of metrics
- 講演要旨:DavidとSemmesはコンパクト距離空間が二倍性質,一様不連結性,そして一様完全性という三つの性質を満たせば,標準的なカントール集合に擬対称同型であることを示した.講演者はカントール距離空間がDavid-Semmesの定理の三つの仮定を満たさないあらゆる場合に,その擬対称同型類が連続体濃度あることを示した.この講演ではこの結果の紹介を行う. また,講演者は最近,上で述べた三つの性質の距離関数の空間の中での位相的分布を決定する研究を行なったのでこれも紹介する.
2021年4月23日(金)16:30-18:00:第55回
- 講演者:藤原 耕二(京都大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/99395965472?pwd=TlZjczRPeDdVaFRFcW1CSEVLS2tXZz09
ミーティングID: 993 9596 5472
パスコード: 975705
- 講演題目: The rates of growth in a hyperbolic group
- 講演要旨:指数増大を持つ群Gについて、その有限生成元集合Sに 関する指数増大度をe(G,S)とする。双曲群Gを固定し、 Sを動かして集合{e(G,S)}を考えるとき、それが整列集合で あることを示す。Selaとの共同研究である。 時間があれば、ほかの群についても論じたい。
2021年1月15日(金)16:30-18:00:第54回
- 講演者:丹下 稜斗(早稲田大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/99263100661?pwd=UGZKeGNqRXowdlRGWERobTJ3ZVZ1Zz09
ミーティングID: 992 6310 0661
パスコード: 616941
- 講演題目: 結び目群の表現に対する岩澤理論
- 講演要旨:素数と結び目の類似をもとに,Galois 表現に対する岩澤理論の結び目理論における類似について今までに得られた結果を紹介する.
2020年12月18日(金)16:30-18:00:第53回
- 講演者:雪田 友成(早稲田大学)
- 場所:Zoomミーティング
https://zoom.us/j/97660215465?pwd=OGxHaDBxa1VjdGgvaVlvU0hiSGJtUT09
ミーティングID: 976 6021 5465
パスコード: 704547
- 講演題目: コクセター群の空間と増大度の連続性
- 講演要旨:群と(順序付けられた)有限生成系の組を標識付き群といい, 標識付き群の同型類の全体を標識付き群の空間という. 標識付き群の空間にはケーリーグラフと相性の良い距離が定まり, コンパクト距離空間となることが知られている. このとき, 群と有限生成系から定まる量である増大度は標識付き群の空間上の関数となる. 本講演では, 最初に標識付き群の空間について説明した後, 講演者が現在までに得ているコクセター群の全体の標識付き群の空間の位相空間としての性質について紹介し, 増大度がコクセター群の空間上の連続関数となることを示す.
2019年12月6日(金)16:30-18:00:第52回
- 講演者:熊谷 駿(東北大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目:2つの有限Jenkins-Strebel方向を有する平坦構造におけるVeech群の特徴づけ
- 講演要旨:リーマン面のモジュライ空間の普遍被覆空間であるタイヒミュラー空間において、その余接バンドルはリーマン面の「平坦構造」の空間と見ることができる。一つの平坦構造のアフィン構造変形族はモジュライ空間上で円板をモデルとするオービフォルドを与えるが、その表示を与える群をVeech群という。本講演では2つの有限Jenkins-Strebel方向の存在を仮定したとき平坦曲面が有限個の平行四辺形セルに分解され、その組み合わせ構造を用いてVeech群の特徴づけができることについて説明する。
2019年11月15日(金)16:30-18:00:第51回
- 講演者:豊田 哲(工学院大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目:距離空間の非正曲率性を特徴付ける不等式について
- 講演要旨:CAT(0) 空間へ等長埋め込み可能な距離空間を特徴付けることは, Gromov によって提示された有名な未解決問題の一つである. 最近, Andoni, Naor および Neiman は, 距離空間 X が CAT(0) 空間へ等長埋め込み可能であることは, 任意の CAT(0) 空間上で成立する全ての「距離の平方に関する斉次線形不等式」 が X 上で成立することと同値であることを証明した. しかし, そのような不等式の全貌についてはよく分かっていない. この講演では, このあたりの状況について, 最近得られた結果を交えながら説明したい.
2019年10月25日(金)16:30-18:00:第50回
- 講演者:山岸義和(龍谷大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: アルキメデス螺旋格子の上のボロノイタイリングの面積の収束
- 講演要旨:ひまわりの種子などの並び方を葉序螺旋という。その幾何学モデルの一つとして、(指数a>0の一般)アルキメデス螺旋格子がある。(a=1の場合が等幅のアルキメデス螺旋、a=1/2 の場合は放物螺旋である。) とくに放物螺旋格子が葉序螺旋に近いと言われる根拠の一つとして、それを母点集合とする平面ボロノイ分割は各タイルの面積がほぼ一定になるという主張がある。この問題を一般の指数a>0の場合で定式化して、回転角(開度)が難近似数(連分数展開の係数が有界)の場合で考える。須志田隆道氏、J.-F.Sadoc氏との共同研究。
2019年7月26日(金)16:30-18:00:第49回
- 講演者:金子宏(東京理科大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: 荷重つき無限グラフにおけるリーマン-ロッホの定理(厚地淳氏との共同研究)
- 講演要旨:連結な有限グラフの各辺と各頂点に,一様に単位荷重を与えた場合のリーマン・ロッホの定理が,Baker とNorine により示された。その因子の扱いは,トロピカル幾何との関連を見出しやすいものであったため,グラフの他の複素解析学的な考察よりも先行して,関連したトロピカル幾何学的な研究がなされてきた。一方,エネルギー最小因子を求めるアルゴリズムに関するBakerとShokriehによる考察など,同値な因子を得るためのチップファイアリング・ゲームに関連したポテンシャル論的な研究もある。本講演では,辺に正の有理数の重みを与え,さらにそれにより自然に定まる頂点の重みを考慮することにより,ある無限グラフにおいてリーマン・ロッホの定理が導けることを示す。証明のための測度論的な議論に必要となる,頂点全体からなる集合上への測度の導入もなされる。
2019年6月28日(金)16:30-18:00:第48回
- 講演者:竹内敦司(東京女子大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: リーマン多様体上の確率過程とgradient formula
- 講演要旨:確率過程の中で最も基本的なものとして、ブラウン運動がある。 ブラウン運動の確率密度関数が熱方程式の基本解であること から見ても分かるように、確率論と偏微分方程式論の間には 深いつながりがある。またこの関係は、リーマン多様体上での ブラウン運動を考える際にも成り立つことが知られている。 この講演では、多様体上でのブラウン運動をどのようにして 構成するかの概略および対応する確率過程に関する部分積分 公式を紹介する。この公式は、半群に対するgradient formulaの ことであり、密度関数の評価に用いられる。さらに不連続性を 伴ったリーマン多様体上の確率過程に関する最近の研究について、 時間が許す範囲内で簡単に紹介する予定である。
2019年5月24日(金)16:30-18:00:第47回
- 講演者:藤野弘基(名古屋大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: 極小・極大グラフ間の双対性に対する単葉調和関数論からの考察
- 講演要旨:3次元ユークリッド空間内の極小グラフ(ある実数値関数のグラフとして書ける極小曲面)と3次元ミンコフスキー空間内の極大グラフ(ある実数値関数のグラフとして書ける極大曲面)との間には自然な双対対応が存在する。本講演ではこの双対対応を単葉調和関数論を用いて考察し、極小・極大グラフそれぞれに対する境界値問題の関係について解説する。
2019年4月26日(金)16:30-18:00:第46回
- 講演者:佐藤 尚倫 (早稲田大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: Thompson群Fの固定部分群の間の同型性
- 講演要旨:Thompson群Fは単位区間へ自然な作用をもつ。その作用のもとで、有限個の実数に関するFの固定部分群の構造や固定部分群同士が同型となるためのある十分条件が知られている。本講演では、固定部分群同士が同型となるための必要十分条件の決定と証明について話す。
2018年12月6日(木)(曜日がいつもと違います)16:30-18:00:第45回
- 講演者:井関 裕靖(慶応大学)
- 西早稲田キャンパス(理工キャンパス)51号館18階18-06セミナー室 (場所がいつもと違います)
- 講演題目:離散群からの調和写像・境界写像と剛性
- 講演要旨: 離散群がある種の空間に対して極めて限定的な作用しか持ち得ない とき、その離散群は剛性をもつと言われる。離散群の剛性を導くために有効な 手段として、調和写像を用いる手法、離散群の境界からの境界写像を用いる手 法の二つがよく知られている。この講演では、これらの手法のある種の融合と みなせるアプローチに関連して最近得られた結果について述べる。
2018年11月16日(金)16:30-18:00:第44回
セミナー後の懇親会に参加希望の方は12日(月)までに小森に連絡ください。
- 講演者:Ruth Kellerhals (University of Fribourg)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: Small hyperbolic orbifolds and Coxeter groups
- 講演要旨: In this talk I provide a survey and include some new results concerning hyperbolic space forms of small volume and dimensions beyond three. I present the connection with hyperbolic reflection groups with few generators.
2018年10月26日(金)16:30-18:00:第43回
- 講演者:Francois Fillastre (Universite de Cergy-Pontoise)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: Hyperbolic geometry of shapes of convex bodies
- 講演要旨: We define a distance on the space of convex bodies in the n-dimensional Euclidean space, up to translations and homotheties, which makes it isometric to a convex subset of the infinite dimensional hyperbolic space. The ambient Lorentzian structure is an extension of the intrinsic area form of convex bodies. We deduce that the space of shapes of convex bodies (i.e. convex bodies up to similarities) has a proper distance with curvature bounded from below by -1. In dimension 3, this space naturally identifies with the space of distances with non-negative curvature on the 2-sphere. Joint work with Clement Debin (SISSA, Trieste).
2018年9月28日(金)16:30-18:00:第42回
- 講演者:田中亮吉 (東北大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目:パラメータ付きPatterson-Sullivan測度
- 講演要旨: 語双曲群において, その境界に定まるPatterson-Sullivan測度(Hausdorff測度と同値で測地流と関わる)と調和測度(有界調和関数の表現と関わる)の関係(いつ互いに絶対連続かという問題)について調べたい. そのためにその2つの測度をinterpolateする測度(ここで, パラメータ付きPatterson-Sullivan測度と呼ぶもの)を構成したので, その紹介をする. この測度族は境界を1次元相互作用系の平衡状態(Gibbs測度)とみなすことで, 自然に定義される. これはもともと最大エントロピーを持つランダムウォークはいつ存在するかを問う, Vershikの提起した問題を研究するために導入したものである. こうした背景についてもお話したい.
2018年6月22日(金)16:30-18:00:第41回
- 講演者:河備 浩司 (慶應義塾大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目:Central limit theorems for non-symmetric random walks on nilpotent covering graphs
- 講演要旨: ベキ零群を被覆変換群とするような有限グラフの被覆グラフのことを ベキ零被覆グラフと呼ぶ。結晶格子(被覆変換群がアーベル群の場合)上 のランダムウォークに関してはすでに多くの極限定理が, 砂田-小谷による 離散調和解析の枠組みで得られている。本講演では, これらの研究の延長 としてベキ零被覆グラフ上の非対称ランダムウォークの中心極限定理を 考察し, スケール極限として捉えたベキ零Lie群値拡散過程にランダムウォークの 非対称性からくるドリフト項が現れること, またこのドリフト項がベキ零被覆 グラフの実現写像のambiguityによらずに定まることを話す。時間があれば, ラフパス理論との関連および証明の概略についても触れたい。 本講演の内容は、石渡 聡 氏 (山形大) および 難波 隆弥 氏 (岡山大)との 共同研究に基づく。
2018年5月11日(金)16:30-18:00:第40回
- 講演者:村井聡 (早稲田大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目:多様体の単体分割の組合せ論
- 講演要旨: 与えられた閉多様体が最小で何個の頂点で三角形分割できるか?また、辺の数やより高次元面の個数について何が言えるか?という問題は、組合せ論の分野で1980年ごろから調べられて来た問題である。当初は幾何学的な手法で研究が進められてきたが、ここ10年ほどで代数的なアプローチからこの問題を調べる手法が発展したことに伴い、面の個数に関する研究が大きく進展した。本講演では多様体の三角形分割の面の個数の研究に関する最近の動向について話をしたい.
2018年4月20日(金)16:30-18:00:第39回
- 講演者:浅香猛 (東京大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目:Earthquake maps of a once-punctured torus
- 講演要旨: Teichm\UTF{00FC}ller space 上の2点に対し、一方を他方に移す唯一つの earthquake map があるという Thurston の地震定理は広く一般的な状況でも成立し、最近では F. Bonsante, K. Krasnov, J. Schlenker によって enhanced Teichm\UTF{00FC}ller space においても証明されている。本講演では、Thurston による地震定理の証明を紹介し、曲面における earthquake map の具体的な構成法を述べる。さらに、once-puctured torus に対し、幾つか lamination を固定し、earthquake map によって動く enhanced Teichm\UTF{00FC}ller space 上の領域を shear coordinates を用いて示す。
2017年12月22日(金)16:30-18:00:第38回
- 講演者:吉田はん (群馬高専)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目:Commensurability of ideal hyperbolic Coxeter 3-cubic groups
- 講演要旨: 2016年に M. Jacquemet は ideal hyperbolic Coxeter 3-cubic groups 7 個を決定し, このうち4個は arithmetic で互いに incommensurable であることを示したが, 残りの3個の non-arithmetic Coxeter 3-cubic groups が commensurable かどうかは決定できていない. この講演では,この3個の non-arithmetic Coxeter 3-cubic groups が互いに incommensurable であることを示す.
2017年10月27日(金)16:30-18:00:第37回
- 講演者:雪田友成 (早稲田大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目:双曲コクセター多面体の増大度の数論的性質について
- 講演要旨: 双曲空間内の面角が π / k (k∈N または ∞) で表される体積有限な凸多面体を双曲コクセター多面体という. 双曲コクセター多面体の面に関する鏡映の全体 S は Isom (H^n) の離散群 Γ を生成し, (Γ, S) はコクセター系となる. このコクセター系の生成系 S に関する語の増大度を双曲コクセター多面体の増大度という. 本講演では, (1) 双曲コクセター多面体の増大度の数論的性質について 2, 3 次元の場合を紹介し, (2) 4 次元の場合に講演者が得た結果を紹介する.
2017年7月28日(金)(1回目)14:30ー16:00、(2回目)16:30-18:00:第36回
- 講演者:保坂哲也 (静岡大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目:(1回目)有限生成無限Coxeter群の分類問題とtwist-rigidの紹介
- 講演要旨: Coxeter群は, 1930年代にH.S.M.Coxeterによって, R^nの有限鏡映群を表す群として登場した. 有限Coxeter群についてはCoxeter自身によって分類がなされているが, 無限Coxeter群の分類問題(同型問題)は, 現在でも未解決である. N.Brady, J.P.McCammond, B.M\"uhlherr, W.D.Neumann等による「同一のCoxeter群のreflectionが一致するCoxeter系は有限のdiagram-twistingで移りあえるであろう」という予想がある. Coxeter系のdiagram-twistingおよび関係する P.E-.Caprace, P.Przytycki の2010年の結果を紹介したい.
- 講演題目:(2回目)測地空間の離散鏡映群とCoxeter群について
- 講演要旨: R^n上の鏡映変換を測地空間上に一般化して定義を行い, 測地空間の「鏡映」によって生成される離散な有限生成「鏡映群」を定義する. このとき, この鏡映群はCoxeter群となることを示す. また, 有限生成なCoxeter群は, Davis複体とよばれるCAT(0)測地空間の離散鏡映群になっていることを紹介する. 最後に, 有限生成Coxeter群が離散鏡映群としてCAT(0)空間に作用しているとき, 「部屋」や「壁」といった鏡映群の構造がDavis複体の構造と酷似している様子, および, このことからわかるCAT(0)空間とその理想境界の幾何的な情報を紹介したい.
2017年6月23日(金)16:30-18:00:第35回
- 講演者:田中淳波 (東京大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目:wrapping projection とクライン群の分解について
- 講演要旨: 曲面群に同型なクライン群の変形空間は、その境界上で自己接触することが McMullen、また Bromberg-Holt により示されているが、 それらの例の背景には境界上の点である代数的極限から、付随する幾何学的極限への wrapping projection の存在がある。本公演では特定の条件を持つ幾何学的極限への wrapping projection の存在と代数的極限のクライン群としての分解に関する情報とを結び付つける。
2017年5月12日(金)16:30-18:00:第34回
- 講演者:中村建斗 (明治大学)
- 講演スライド
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目:メビウス変換群の可視化とそのアルゴリズムについて
- 講演要旨: クライン群の可視化には,群のケーリーグラフを探索することで,極限集合に含まれる点の位置や,基本領域の軌道を直接求めて描画する方法を用いることが一般的である.しかし,この方法は生成元の数や探索の深さを増やすと計算量が指数オーダーで大きくなるうえに,並列計算も難しいため,描画に時間がかかるという欠点がある. そこで講演者は円に関する反転で生成された群による,図形の軌道を高速に描画するためのアルゴリズム,Iterated Inversion System (IIS)を開発した.このアルゴリズムを用いると,与えられた平面上の点が,群の軌道に属しているかどうかを計算することができる.これは並列計算が容易なため,描画が高速に行なえる.また,IISでは円に関する反転の組み合わせによって表現されたメビウス変換を生成元に加えることができる.このようなメビウス変換は,円の中心や半径といった幾何学的な情報から,そのパラメータを直観的に調整することが可能である.さらに円の反転を球の反転に拡張することで,四次元クライン群を含む高次元のメビウス変換群の図も高速に描画することができる. 講演者はIISを用いて多数の生成元をもつメビウス変換群を直観的に生成し,可視化することができるウェブアプリケーション,Schottky Link (https://schottky.jp) を開発している.本講演ではIISを利用したメビウス変換群の可視化手法と,そこで用いられるメビウス変換の表現方法について述べる.
2017年4月21日(金)16:30-18:00:第33回
- 講演者:Lijie Sun (孫 立杰) (東京工業大学大学院情報理工学研究科)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目:Discreteness of complex hyperbolic triangle groups
- 講演要旨: The biholomorphic automorphism group of complex hyperbolic 2-space is the Lie group PU(2, 1). Complex hyperbolic triangle subgroups of PU(2, 1) are quite different from triangle subgroups acting on the real hyperbolic plane, which are always rigid and discrete. The space of complex hyperbolic triangle groups is 1-real dimensional. At this talk I will begin with fundamentals on complex hyperbolic geometry, and then mainly concentrate on complex hyperbolic triangle groups generated by three complex reflections with order 2 or even higher order.
2017年3月3日(金)16:30-18:00:第32回
- 講演者:John Parker(東京工業大学、Durham大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目:A Complex Hyperbolic Riley Slice
- 講演要旨: (Joint work with Pierre Will) In the late 1970s Robert Riley investigated subgroups of SL(2,C) generated by two parabolic transformations. The conjugacy classes of such groups may be parametrised by one complex number. Riley investigated for which values of this complex number the group is discrete. In our work we investigate subgroups of SU(2,1) generated by two unipotent parabolic maps whose product is also unipotent. The conjugacy classes of such groups may be parametrised by two real numbers and we investigate values of these parameters where the group is discrete. We give an explicit open set where the group is discrete and free. Moreover, two consequences of our work are, first, that we prove a conjecture of Schwartz for complex hyperbolic (3,3,infinity) triangle groups and, secondly, that we give a spherical CR uniformisation of the Whitehead link complement with unipotent holonomy.
2017年1月27日(金)16:30-18:00:第31回
- 講演者:加藤本子(東京大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: 高次元Thompson群へのright-angled Artin群の埋め込みについて
- 講演要旨:ある種のright-angled Artin群は、Thompson群Vの部分群とならないこと が知られている。本講演では、任意のright-angled Artin群が十分高い次元の Thompson群の部分群となることを、埋め込みを具体的に構成することによって証 明する。Vの場合の埋め込み可能性と比較することで、2以上の次元のThompson 群はVの部分群とならないことが示される。
2016年12月19日(月)通常と曜日が異なります16:30-18:00:第30回
- 講演者:作間誠(広島大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: The action of the mapping class group on the space of geodesic rays of a punctured hyperbolic surface
- 講演要旨:カスプを1つだけ持つ有限面積有向完備双曲曲面に対して, カスプから出る完備測地線全体の成す空間を考えると, その空間に曲面の写像類群は自然に作用する。 本講演では,この作用が「ほとんど至る所で遊走的」であることを証明する。 この結果は Brian Bowditch 氏との共同研究成果である。 また時間が許せば,この定理の背景についても触れたい。
2016年11月11日(金)16:30-18:00:第29回
- 講演者:山崎亮介 (学習院高等科)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: ショットキー群およびショットキー空間の境界上にあるクライン群のヨルゲンセン数について
- 講演要旨:メビウス変換の2元生成群に対して,ヨルゲンセン数が佐藤宏樹によ り定義された.ヨルゲンセンの不等式から,非初等的クライン群のヨルゲンセン 数は1以上になる.そこで,「任意の1以上の実数をクライン群のヨルゲンセン数 として実現できるか?」という問題を考える.本講演では,この問題について講 演者が得た結果を,大市-佐藤やCallahanの先行研究と比較しながら紹介する. また,これらの結果が,Mardenや山本による非古典的ショットキー群の存在定理 の別証明へのアプローチにもなっていることを説明したい.
2016年10月28日(金)16:30-18:00:第28回
- 講演者:松崎克彦 (早稲田大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: 漸近的不変部分空間への作用の軌道による有限生成群の考察
- 講演要旨:距離空間 X に幾何学的に作用する群 G に対して, X 上の有界関数の空間への G の作用の漸近的不変部分空間を定義し, その中での軌道を考える.軌道が常に離散的になるという性質をもつ有限生成群 G を特徴付ける 問題を提示する.
2016年7月15日(金)16:30-18:00:第27回
- 講演者:廣瀬進 (東京理科大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: 超楕円的ハンドル体群の有限表示について
- 講演要旨:3次元球体に1ハンドルを接合して得られる向き付け可能な3次元多様体を3次元ハンドル体と呼ぶ.3次元ハンドル体の写像類群の中で,hyperelliptic involution と可換な元のなす部分群,すなわち超楕円的ハンドル体群を考える.超楕円的写像類群と球面上の組み紐群との Birman-Hilden による対応のもと,超楕円的ハンドル体群は,球面上の組み紐群の wicket group もしくは Hilden group と呼ばれる部分群に対応する.これらの群の有限表示が,Brendle-Hatcher や Tawn により求められており,この対応を用いることで得られた超楕円的ハンドル体群の有限表示を紹介する. 本講演で紹介する結果は,金英子氏(大阪大学)との共同研究によるものである.
2016年6月17日(金)16:20-17:50時間を変更しました:第26回
- 講演者:佐々木東容(早稲田大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: 曲面群上のサブセットカレント空間
- 講演要旨:種数2以上の向き付け可能な閉曲面(以下単に曲面と書く)の基本群を曲面群と呼ぶ. 曲面群上のサブセットカレント空間はKapovichとNagnibedaによって2013年に導入された概念であり, 曲面群上の測地カレント空間の一般化になっている.曲面上の測地カレント空間は1986年にBonahonによって導入された概念であり, 曲 面の閉測地線全体の集合を測度論的に完備化した空間とみなすことができる.曲面の2つの測地線に対して, その(幾何学的)交点数を対応させる写像が測地カレント空間上に連続に拡張可能である, というBonahonの結果は多くの応用が存在し興味深い.また,曲面群上のサブセットカレント空間は, 曲面群の有限生成部分群の共役類全体の集合を測度論的に完備化した空間とみなすことができる. ここで,曲面の閉測地線が曲面群の巡回部分群の共役類と対応することに注意すると, サブセットカレント空間は測地カレント空間の自然な一般化(あるいは拡張)と思える. 本講演では,Bonahonによる測地カレント空間についての結果がサブセットカレント空間上に拡張されること, 特に交点数写像の拡張について話す予定である.
2016年5月27日(金)16:30-18:00:第25回
- 講演者:久保翔太(早稲田大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室:部屋を変更しました)
- 講演題目: シュワルツの保型関数
- 講演要旨:アイヒラー積分とその周期を用いて、三角群の保型関数体の生成元の明示公式を導く。
2016年2月24日(水)16:30-18:00(いつもと曜日,時間帯が違います):第24回
- 講演者:見村万佐人(東北大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: 固定点性質の強い代数化
- 講演要旨:バナッハ空間の族を決めたとき,群のアファイン等長作用が必ず大域的な固定点をもつ, という固定点性質に興味があります.特に有限指数 p に関する L_p 空間全体の族のとき が,(相対的)グロモフ双曲群とのからみで面白いです.Shalom によって,1999年に "Bounded Generation Argument" と呼ばれる固定点性質の証明法が創始されました.この 論法は群に関する "Bounded Generation" というとても強い条件を要請しており、この条件が ひみつ道具のような役割を果たしています.となると,Shalom の議論を強化して,こういう ひみつ道具に依存しないでも固定点性質が示せるかが気になります. 講演者は昨年,上記の問題を肯定的に解決しました.固定点性質の背景から入って,結果の ある程度詳細までお話できたら,と考えています.
2016年1月29日(金)16:30-18:00:第23回
- 講演者:川平友規(東京工業大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室)
- 講演題目: リーマン予想と複素力学系・固定点の正則指数
- 講演要旨:本講演ではまず,方程式の数値解法として古典的な「ニュートン法」 を題材にして1次元複素力学系理論について概説したあと, 固定点の不変量である「正則指数」をもちいた リーマン予想の「複素力学系的な」翻訳を紹介する. 例えば,リーマン予想が正しく,かつすべての零点の重複度が 1であること(単純性予想)は,ある特殊な形をした有理型関数が 吸引的固定点をもたないことと同値となる. 面白いことに,この翻訳は「位相的」な言葉でも記述できるのである.
2015年11月27日(金)16:30-18:00:第22回
- 講演者:糸健太郎(名古屋大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: 双曲幾何からローレンツ幾何へ
- 講演要旨:ローレンツ多様体とは (n,1) 型不定値計量を持つ多様体である. 特に定曲率 1 の空間をド・ジッター空間,定曲率 -1の空間を反ド・ジッター空間という. ここではド・ジッター空間や反ド・ジッター空間の基本的な性質から始め, 双曲幾何とこれらの空間との関わりについて説明する.特に,Messによって与えられた 「Thurstonのearthquake theoremの反ド・ジッター空間を用いた別証明」を解説する.
2015年10月23日(金)16:30-18:00:第21回
- 講演者:杉山健一(立教大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 A 室(セミナー室変更しました(10月22日)))
- 講演題目: Ramanujanグラフのゼータ関数とHasse-Weil合同ゼータ関数
- 講演要旨
2015年7月15日(水)(曜日が通常と異なります!)16:30-18:00:第20回
- 講演者:柳下剛広(早稲田大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: 2乗可積分タイヒミュラー空間上の Weil-Petersson 計量の曲率について
- 講演要旨:2乗可積分タイヒミュラー空間とは, タイヒミュラー空間の部分距離空間で, 双曲計量に関して2乗可積分なベルトラミ係数を含むタイヒミュラー同値類からなる空間である. また, Weil-Petersson 計量とは, コンパクトリーマン面のタイヒミュラー空間に 対して定まる標準的なエルミート計量である. Wolpert はこの計量の各曲率(正則 断面曲率, 双正則断面曲率, リッチ曲率, スカラー曲率)がすべて負となることを示した. また, Takhtajan-Teo は複素単位円板の2乗可積分タイヒミュラー空間上で Weil-Petersson 計量を同様に定義し, その各曲率の負値性を示した. 本講演では, より一般な設定である解析的無限型リーマン面の2乗可積分タイヒミュラー空間 における Weil-Petersson 計量の曲率について, 先行結果と比較しながら考察する.
2015年6月12日(金)16:30-18:00:第19回
- 講演者:正井秀俊(東京大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: Fibered commensurability of random mapping classes.
- 講演要旨:近年,写像類群上のランダムウォークが注目を浴びている.ランダムな写像類や,それらから得られるランダムな3次元多様体の性質は"一般的"であると考えられ,様々な研究が生まれている.本講演ではCalegari-Sun-Wang の定義したFibered commensurability と言う概念を導入し,ランダムな写像類がいつFibered commensurable になるかについて講演者がこれまでに得ている結果を紹介する.
2015年5月29日(金)16:30-18:00:第18回
- 講演者:阿部隆次(東京工芸大学)
- 場所:早稲田キャンパス14号館数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: マルコフの方程式の幾何と組合せ論
- 講演要旨:ここではその整数解がマルコフ・スペクトルの値の列を与える $x^2 + y^2 + z^2 = 3xyz$, $2x^2 - 4x y_1 y_2 + y_1^2 + y_2^2 = 0$ などの方程式をマルコフの方程式と呼ぶ. 前者とフリッケの一点穴あきトーラスのモジュライ方程式 $X^2 + Y^2 + Z^2 =XYZ$ の類似から, マルコフ・スペクトルが一点穴あきトーラス上の閉測地線の幾何と結びつくことはよく知られている. 後者は $Q(i)$ に対するマルコフ・スペクトルも閉測地線の幾何と結びつくことを示唆している. 本講演では $x^2 + y^2 + z^2 = 3xyz$ をグラフで表し, マルコフ・スペクトル の観点から実数の連分数展開, 二次形式の最小値, 一点穴あきトーラス上の閉測地線の間にある関係を解説する. 時間があれば, $2x^2 - 4x y_1 y_2 + y_1^2 + y_2^2 = 0$ に対し同様に議論すると $Q(i)$ に対するマルコフ・スペクトルがボロミアン環の補空間内に嵌め込まれた 二点穴あきトーラス上の閉測地線と関連することなどが得られることも説明する.
2015年4月8日(水)(曜日が通常と異なります!)16:30-18:00:第17回
- 講演者: Ruth Kellerhals (Fribourg)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(717 A 室)(場所が理工と異なります!)
- 講演題目: On commensurable hyperbolic Coxeter groups
- 講演要旨: I shall present a particular family of discrete hyperbolic reflection groups and discuss their classification up to (wide) commensurability. Each such group has a fundamental polyhedron which is a pyramid over a product of two simplices of positive dimensions. These groups are generated by n+2 reflections in hyperplanes, exist and act non-cocompactly on hyperbolic n-space for up to n=17, and they are rich in arithmetic and non-arithmetic examples. The methods involved are diverse, ranging from gluing properties, algebraic considerations around subgroups of free products with amalgamation to arithmetic tools based on trace field comparison as well as results due to Maclachlan exploiting the isomorphism classification of certain quaternion algebras over totally real number fields. This is joint work with Rafael Guglielmetti and Matthieu Jacquemet.
2015年2月27日(金)16:30-18:00:第16回
- 講演者: 西方一平 (早稲田大学理工学部)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(717 A 室)(場所が理工と異なります!)
- 講演題目: 双曲面の力学系理論への招待
- 講演要旨:上半平面 H の単位接束 T^1H とフックス群 Γ について,空間 T^1H/Γ 上には H の測地線をもとにフロー(測地流)が定まる.その力学系の極小集合に関して,F. Dal'bo と A. N. Starkov は一つの予想をたて,無限生成のショットキー群と放物型元をもつフックス群について部分的な答えを得ている.証明の中では記号力学系の理論が用いられ,結局は各項が整数である無限列を構成するという単純な問題に帰着される.今回は,測地流や記号空間を基本的な内容から解説し,彼らの予想に対する答えを述べたい.さらに,双曲面の力学系理論の興味深い話題についても説明したい.
2014年12月19日(金)16:30-18:00:第15回
- 講演者: 永野中行 (早稲田大学理工学部)
- 場所:早稲田大学理工キャンパス51号館18階 18-02 セミナー室
- 講演題目: 正二十面体不変式と志村曲線
- 講演要旨:アーベル曲面は楕円曲線の2次元への拡張であり、その自己準同型環の性質に応じて、実乗法(RM)、四元数環による乗法(QM)、虚数乗法(CM) を持つと呼ばれます。志村曲線はQM を持つアーベル曲面のモジュライ空間で、複素関数論的には複素上半平面をフックス群で割った商空間として実現されます。しかし、尖点(カスプ)を持たないという特徴があり、志村曲線の具体的なモデルを与える事は決して自明な問題ではありません。 今回の発表では、まず、アーベル曲面やK3曲面の基本的な性質や、志村曲線の先行結果について紹介します。また、ヒルベルト・モジュラー形式を座標に持つ重み付き射影空間と、正二十面体群の不変式との関係を紹介します。そして、K3曲面の周期写像を経由する事で、志村曲線を正二十面体不変式で実現します。これは志村曲線の簡明なモデルを与えます。 時間に余裕がある場合、CM を持つ場合のアーベル曲面を正二十面体不変式で調べることについても紹介する可能性があります。
2014年11月28日(金)16:30-18:00:第14回
- 講演者: Johannes Jaerisch (早稲田大学教育・総合科学学術院・外国人研究員)
- 場所:早稲田大学理工キャンパス51号館18階 18-06 セミナー室(いつもの部屋の近くです)
- 講演題目: On the Poincare series of normal subgroups of free Kleinian groups
- 講演要旨:For a free Kleinian group $G$ we investigate the spectrum of critical exponents $\delta(N)$ where $N$ runs over all the normal subgroups of $G$. We review a recent result of Stadlbauer stating that $\delta(G)=\delta(N)$ if and only if $G/N$ is amenable. Moreover, we discuss results of Roblin and Matsuzaki/Yabuki which bound $\delta(N)$ from below by $\delta(G)/2$. We focus on relations to the thermodynamic formalism in ergodic theory.
2014年10月17日(金)16:30-18:00:第13回
- 講演者: Alexander Kolpakov(Toronto)
- 場所:早稲田大学理工キャンパス51号館18階 18-02 セミナー室
- 講演題目: Symmetries of hyperbolic four-manifolds and combinatorics of simplicial complexes
- 講演要旨: I will speak about my recent results with L. Slavich (University of Pisa). We show that for any finite group $G$ there is a (complete, finite-volume) hyperbolic four-manifold $M$ with the group of symmetries (or self-isometries) $\mathrm{Isom} M \cong G$ or $\mathrm{Isom}^+ M \cong G$. Our method uses the geometry of Coxeter polytopes on one hand, and the combinatorics of simplicial complexes on the other. In contrast to the probabilistic methods by Belolipetsky and Lubotzky who found manifolds with given symmetry group in any dimension, we provide an explicit construction with highly controllable geometry and combinatorics. In this way, we can find a volume bound for $M$ in terms of the order of $G$, partially answering a question by Belolipetsky and Lubotzky.
2014年7月25日(金)16:30-18:00:第12回
- 講演者: 松田能文(青山学院大学理工学部)
- 場所:早稲田大学理工キャンパス51号館18階 18-02 セミナー室
- 講演題目: 回転数, 有界オイラー数と2次元軌道体群の円周への作用
- 講演要旨:回転数はポアンカレにより定義された, 円周の向きを保つ同相写像の半共役類の完全不変量であり, 漸近的あるいは平均的な回転角と見なせるものである. 有界オイラー数はBurger,Iozzi,Wienhardにより定義された, 連結かつ向き付けられた有限型の穴あき曲面の基本群の円周への向きを保つ作用の半共役類の実数値不変量であり, 閉曲面の基本群の円周への作用のオイラー数, すなわち付随する円周束のオイラー数, の一般化である. Milnor-Woodの不等式は有界オイラー数に対して一般化され, 有界オイラー数の最大性はフックス作用の半共役類を特徴付ける.有界オイラー数はいくつかの元の回転数の持ち上げにあたる移動数により表示できる. 被覆を考えることにより有界オイラー数の定義は2次元軌道体群の作用に対して拡張される.この講演では,モジュラー群などのいくつかの2次元軌道体群のフックス作用の持ち上げの半共役類がいくつかの元の回転数および有界オイラー数により特徴づけられるかについて述べる.
2014年6月27日(金)16:30-18:00:第11回
- 講演者:小森洋平(早稲田大学教育学部数学科)
- 場所:早稲田大学理工キャンパス51号館18階 18-02 セミナー室
- 講演題目:トーラス上のリーマン面の退化族について
- 講演要旨: 複素1次元トーラス上に原点と原点以外の点を結ぶ切れ目を入れる。こ の切れ目が入ったトーラスのコピーを n 個用意し、切れ目にそって順番に張り合わせてゆくと、n 次数巡回群の自己同型を持つ種数 n のリーマン面が得られる。このよう にしてトーラスの点によってパラメータ付けされた種数 n のリーマン面の族に複素解析曲面の構造を入れて、トーラス上に種数 n のリーマン面の退化族を構成する。 さらにこの退化族の特異ファイバーや正則切断を決定する。
2014年6月6日(金)16:30-18:00:第10回
- 講演者:宮地秀樹(大阪大学理学部)
- 場所:早稲田大学理工キャンパス51号館18階 18-02 セミナー室
- 講演題目: A criterion for virtually isomorphism on holomorphic families of Riemann surfaces.
- 講演要旨: 共通の底曲面を持つような二つの正則族について,底曲面のある有限被覆によるそれ らの引き戻し束が同型になるときvirtually isomorphicという.共通の底曲面を持つ 場合,今吉-志賀によりモノドロミーが一致する正則族は同型であることが知られて いる.ここではタイヒミュラー空間上のタイヒミュラー距離に関する幾何学を用いて 「一致する」よりも(一般的に)弱い条件を提示し,その条件の下で与えられた正則 族がvirtually isomorphicであることを示す.そして有限被覆の次数はファイバーの 種数および穴の数にのみ依存するようにとれることも示す.
2014年4月11日(金)16:30-18:00:第9回
- 講演者:四之宮 佳彦(早稲田大学、学振 PD)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(708 室)
- 講演題目: Teichmuller curves and flat surfaces.
- 講演要旨: タイヒミュラー曲線とは有限型の双曲型リーマン面から有限型リーマン面のモジュライ空間への正則局所等長写像である.タイヒミュラー曲線はリーマン面上の平坦構造のアファイン変形によって実現される.本講演ではタイヒミュラー曲面の位相的情報によって,対応する平坦曲面の円柱分解から定まる幾何的量が評価できることを示す.
2014年3月12日(金)16:30-18:00:第8回
- 講演者:Jose Manuel Rodriguez (Universidad Carlos III de Madrid)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: Structure theorem and escaping geodesic on Riemannian manifolds.
- 講演要旨: In this work we give a lower bound for the visual Hausdorff dimension of the geodesics escaping through different ends of Riemannian surfaces with pinched negative curvature. This allows to show that in any Riemannian surface with pinched negative curvature and infinite area there is a large set of geodesics escaping to infinity. A main ingredient in the proof is the fact that any Riemannian surface, with no restriction of curvature at all, can be decomposed into blocks belonging just to some of these types: generalized Y-pieces, generalized funnels and halfplanes.
2014年2月17日(月)16:30-18:00:第7回
- 講演者:Kurt Falk (Universit\UTF{00E4}t Bremen)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: Rough CAT(0) spaces.
- 講演要旨: In this talk I will be discussing rough CAT(0) spaces, or rCAT(0) in short, introduced by Buckley and myself in an attempt to unify CAT(0)-theory and Gromov hyperbolicity, with special emphasis on boundary theory. When defining the boundary of a rCAT(0) space, bouquets of short segments (a concept related to V\UTF{00E4}is\UTF{00E4}l\UTF{00E4}'s roads) replace the classical geodesic rays to infinity known from the definition of the ideal boundary of a metric space. However, rCAT(0) spaces come in three flavours of which only the strongest allows a meaningful boundary theory, and the weakest turns out to be already known as so-called bolic spaces. As of now, we do not know whether these three conditions are equivalent or not. Thus, in the last part of the talk I will give an outlook on open questions.
2014年1月14日(火)10:30-12:00:第6回
- 講演者:Vesna Manojlovic (University of Belgrade)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: Teichm\UTF{00FC}ller’s problem in space.
- 講演要旨: Quasiconformal homeomorphisms of the whole space of $R^n$ onto itself normalized at one or two points are studied. In particular, the case when the maximal dilatation tends to 1 is in the focus. Our methods make use of an asymptotically sharp bound for quasisymmetry and a generalized Bernoulli type inequality. In addition, we prove a sharp result for the behavior of the quasihyperbolic metric under quasiconformal maps.
2013年12月6日(金):第5回
- 講演者:石部 正(東京大学)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: Toward a generalization of the theory of Artin groups.
- 講演要旨: For a finite reflection group $W$, we consider the fundamental group of regular orbit space of the finite reflection group $W$. The fundamental group admits a special presentation whose defining relations correspond to the finite Coxeter diagram of type $W$. The group (resp. monoid) defined by that presentation is called an Artin group (resp. Artin monoid). By showing a certain lemma for Artin monoid, we conclude that Artin monoid is a cancellative monoid and the LCM condition (i.e. for any two elements $\alpha$, $\beta$, there exist left and right least common multiples of them)is satisfied. As a result, some decision problems in Artin groups can be solved. We may say that the above lemma is a key to success in the theory of Artin groups. In the talk, emphasizing the role of the lemma,we will consider a generalization of the theory of Artin groups.
2013年10月25日(金):第4回
- 講演者:近藤 剛史(東北大学)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: 固定点定理と非線形スペクトルギャップ
- 講演要旨:Zuk による, グラフのスペクトルギャップと性質 (T) の関係は, 井関-納谷によって非正曲率空間に対する群作用の固定点定理に 拡張され, そこでは非線形スペクトルギャップが使われた. この講演では, まずこの固定点定理を説明し, 非線形スペクトルギャップについての これまでの研究について概観する.
2013年7月19日(金):第3回
- 講演者:野中純(慶応義塾大学)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス14号館7階数学科演習室(717 B 室)
- 講演題目: 双曲空間におけるCoxeter多面体について
2013年6月7日(金):第2回
- 講演者:Ara Basmajian (ニューヨーク市立大学 & 早稲田高等研究所)
- 場所:早稲田大学早稲田キャンパス9号館5階早稲田高等研究所第3会議室(506室)
- 講演題目: Conformally scattered sets in the unit circle
- 講演要旨: A space is said to be scattered if every non-empty subset has isolated points. In this talk, we investigate the existence of such sets in the category of conformal mappings. Our interest is in generating scattered sets in the unit circle as orbits of conformal mappings of the unit disc. A topological corollary of our work is that there are uncountably many (up to homeomorphism) closed subsets of the Cantor set. Since every such subset yields an example of a topologically infinite surface, this in turn implies that there are uncountably many topological surfaces.
2013年5月24日(金):第1回
- 講演者:小森洋平(早稲田大学教育学部数学科)
- 場所:早稲田大学西早稲田キャンパス51号館18-10B室
- 講演題目:Gram 行列による双曲多面体の特徴付け(Vinberg の仕事の紹介)
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